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The Mary Griggs Burke Collection

Bridge of Dreams: The Mary Griggs Burke Collection of Japanese Art (Metropolitan Museum of Art Publications)
Bridge of Dreams: The Mary Griggs Burke Collection of Japanese Art
(Metropolitan Museum of Art Publications)
作者: Miyeko Murase
    Metropolitan Museum of Art
数年前、メトロポリタン美術館で「バーク・コレクション」が開催されていたんだ。気に入ったのが「扇流図屏風」で、The Mary Griggs Burke Collection of Japanese Art の表紙にもなってる。西洋絵画にみられない構図なんだよね。

ちなみに「バーク・コレクション」は6月11日まで、滋賀県MIHO MUSEUMで。バーク・コレクション関連記事は、ほかの作品を紹介しているから見てみてよ。それで、「扇流図屏風」の全体像と僕の戯言は続きからね。
室町物語という御伽草子に、「扇流し」ってあるらしい。読んだことがないのだけれど。ただ、足利尊氏が嵐山近くの天龍寺へ参詣の折のこと。お供の童子が舟から誤って落とした扇の川を流れてゆくさまがとても雅で美しかった事に由来していると聞いている。それ以後天龍寺参詣の際、お供の人々が競って扇を川に流したらしいよ。

この江戸期に描かれているのは、橋の上。庶民の風俗図のようだ。舟から扇を落とす十二単衣の女性がいいよね。

扇流図屏風

この「扇流図屏風」は、パリで発見。元メトロポリタン修復師の安部光弘氏が修復している時に、ひょっこり「男」がでてきたという。描かれているのは「女」だけ。なぜか消されていたという一人の男。

室町時代の扇流図屏風に、元信印が押されている「京洛年中行事扇流図屏風」というのがある。狩野派工房の作と推定され、「月次風俗図扇面流し屏風」ともいう。京の年中行事・祭礼を描いたものだ。これ、まだ見てないんだよね。

扇って、扇を広げた形が末広がりでを意味し、幸永く続きくようにという願いがある。また神子舞での扇は修験道では檜扇といって、衆生の煩悩を梵焼して大菩提に到らしめるものとされているから、煽ぐことで災いをはらい、神々の力を招き寄せるために用いられていると考えられるらしい。

この「扇流図屏風」をみて、煩悩が流れるといいね。