アンリ・ファンタン=ラトゥール ベルリオーズ礼賛
アンリ・ファンタン=ラトゥールのワグネリアンも有名だけど、ファンタン=ラトゥールはベルリオーズやシューマンもだーい好き。
だから音楽家の作品をタイトルにしたリトグラフや油彩はたくさんある。花の絵とどっちが多いのか、実際に。
時々見かける邦題の「記念祭」は、なんの記念祭なのさ!12月11日のベルリオーズの誕生日か3月8日の命日じゃないの?
中央の黒衣の女性が指差す先はベルリオーズの墓碑に刻まれた生誕と没年を示し、左手にはベルリオーズが作曲した曲名が書かれているようだ。ハロルド、ジュリエット、ファウスト、キリスト、トロイ。
たぶん花輪を飾るのが「ファウストの劫罰」のマルグリット、宗教的三部作「キリストの幼時」からは天使、「トロイの人々」からはディド、そして白衣のジュリエットが描かれているんだ。中央が9柱のムーサの一人クリオ(クレイオー)で、左で嘆いているのは死者のための大ミサ曲(レクイエム)を擬人化しているのかな。「奇しきトランペットの響き」は足元にある。竪琴を抱えているからエラトーかも。そしてひざまづいている紳士はアンリ・ファンタン=ラトゥール自身。
アンリ・ファンタン=ラトゥールは、1888年に親友のアドルフ・ジュリアン(Adolphe Jullien)の著作で「エクトル・ベルリオーズ、その生涯と作品」(Hector Berlioz. Sa vie et ses oeuvres)に、ワグナー同様にリトグラフの挿絵を制作している。
この「記念日」に書かれている曲を含めて14作品を主題にしたもの。「エクトル・ベルリオーズ、その生涯と作品」には、この記念日は葬送と勝利の大交響曲 Op.15から第3楽章「アポテオーズ」として1888年に挿絵となる。その作品ではアンリ・ファンタン=ラトゥールの顔は横向きだ。
この記事からワーグナーとベルリオーズの作品を主題(ワグナー、そしてベルリオーズのその生涯と作品の挿絵)にしたアンリ・ファンタン=ラトゥールのリトグラフがたくさん見ることができるって。もちろん「アポテオーズ」も。(いま見てきたら、一番下にあった。)
あと、アンリ・ファンタン=ラトゥール関連記事のリンクは今度。