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ダリ 世界教会会議  〜もうカウントダウン

Dali1960

世界教会会議 サルバドール・ダリ 1960年

Worldwide © Salvador Dali, Fundació Gala-Salvador Dali, SPDA, Tokyo 2006 In the USA©Salvador Dali Museum Florida /Tokyo 2006
画像引用:「サライ」(小学館)2007/1月号 p80〜p81 つなぎが大変だった・・・


この作品「The Ecumenical Council, 1960」に、「三位一体」が描かれているんだね〜。


よく、政治家が「三位一体の革新をもって〜」なんていう演説も聞くけれど、ダリの三位一体は、キリスト教の中心的教義になっている、ローマ・カトリック教会の「父なる神」と「子なるイエス・キリスト」と「聖霊」という異なる三つの位格(人は人格って表わすけど、神は位格っていう)の実体は、ひとつだよってことを描いてる。

要するに、聖書での天地の創造主と、キリストと、聖霊(選ばれた人たち【←使徒というね】を導くために、降臨する霊)は、「みっつ で ひとつ」ということなんだよね。

英国教会は、政治的な問題からローマ・カトリックから独立しているから、教義的には共通するけれど、東方正教会は、三位格の独立性・自立性を主張しているし、イスラム教は、すべての存在が神の現れとしてるんだ。


「世界教会会議」で、ダリは左にキリストを、中央にヴァチカンのサン・ピエトロ聖堂と父なる神(創造主)を描き、右に鳩を従えた聖霊を描いた。


ヴァチカンのサン・ピエトロ聖堂を描いたのは、カトリック教会の総本山。地下にある墓地に、ヨハネ23世 (ローマ教皇)の石棺も置かれている。

ヨハネ23世は、初めて英国教会大主教バチカンに迎え、東方正教会へも書簡を送り、教会一致に尽力したんだ。他教会や他宗教との交流を深めた人だったんだね。(僕は仏教だけどね。)教皇ヨハネ23世のもとで開かれた、1962年の第2ヴァティカン公会議は、史上初の世界五大陸が参加。会議の準備に2年が費やされたというから、1960年頃に開催指示を与えたということだね。これを聖霊の導きと、ヨハネ23世は語っている。

開催指示は、誰もが予期しなかった公会議(世界公会議)で、驚きのことであったらしい。つまり、1869年の第1ヴァティカン公会議がふさわしいものではなかったというわけ。

世界公会議って、世界各国の教会の代表者が、教義の決定や教会法の制定などを議論する最高会議。その地で開かれた名称と第〜を冠するから、ヴァティカンでは、100年近く開かれなかったんだね。

在位は1958年から1963年だから、第2ヴァティカン公会議(1962-65年)の終了を前に亡くなったんだ。エキュメニズム世界教会主義)は、これ以降、さかんになったらしい。


ダリの「世界教会会議」は、ヨハネ23世を讃えた作品なんだ。


さて、地上には、キャンバスにむかうダリ自身と、ダリを見つめる聖女へレナのガラが描かれている。


もともと公会議って、325年の二カイア公会議がはじまりらしい。ローマ皇帝コンスタンティヌス1世コンスタンティヌス大帝)は、キリスト教皇帝として有名なんだって。戴冠式の時に、聖職者と認められたという。それで教義論争を解決するために公会議を開いたんだ。

ヘレナとは大帝の母で、手にもつ十字架は戦争の勝利を表わしている。空に「汝これにて勝て」という文字に、十字架を見たというんだ、コンスタンティヌス大帝は。しかも、大帝にしか見えない天使や、神の啓示も受けたという。それは、母へレナ譲りかも。キリストの磔刑の「ユダヤの王、ナザレのイエス」と記された聖十字架に聖釘、ロンギヌスの槍ゴルゴタの丘で発見したという。処刑から300年を経た頃の話。

その母へレナは、のち聖女になった。ガラは、ダリにとって、女神であり、妻でもあり、母でもある。そしてとうとう、作品で聖女になったんだぁ。・・・ということは、ダリ、君がコンスタンティヌス大帝ってこと?


世界教会会議の歴史も象徴している作品なんだぁ〜。


でもさ、このあたりのシーン、ダリのギュスターヴ・クールベと似た性質を感じるね。自分を強調するところなんかさ。

生誕100年記念 ダリ回顧展では、年末年始も無休で開館だって。
東京 上野の森美術館 URL:http://www.dali2006.jp
2006年9月23日(土)〜2007年1月4日(木)10:00〜18:00 

公会議:参考 Wikipedia

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