ヒューゴ・シンベリ 傷ついた天使
アテネウム美術館(Ateneumin taidemuseo)にあるヒューゴ・シンベリ(Hugo Simberg)の油彩「傷ついた天使」(Haavoittunut enkeli 1903)は、晩年の作品になる。
ヒューゴ・シンベリの作品は、どれも死と隣あわせだ。嫌いじゃないよ。
「傷ついた天使」の二人の少年は、戦時中なんかの時代に多い子供の顔つき。だって、大人も子供も瀕死の時代だから、誰でも「人間の危機に直面した表情」をしているものだ。
ヒューゴ・シンベリは、この少年二人を、使命を果たさなければならない二人として描いたような気がするんだよね。少年たちの重々しい表情。
この天使は生贄なのかな。傷ついた羽に、目隠しされた天使。地につかぬ素足に、スノードロップ (snowdrop) を握る手。
花言葉は「逆境のなかの希望」だけれど、この天使、この花をどうしたのだろう。自分で摘んだのだろうか。それとも贈る花だったのか、贈られた花だったのか。気になるっ!
スノードロップの花は、贈られた者の死を望むという伝えがあるから。
追記 写真が見つかったので。
このタンペレ大聖堂にはヒューゴ・シンベリのフレスコ画が満載。「傷ついた天使」のフレスコ画、「死の庭園」のフレスコ画のほかに、「花輪運び」がある。
「花輪運び」の少年たち。ヒューゴ・シンベリは、少年たちを並べてスケッチしたっていう話。この上にあるのがタンペレ大聖堂フレスコ画の「傷ついた天使」だ。違いわかる?
ヒューゴ・シンベリは、悪魔や死をユーモラスに描くけど、そのほかの作品の人間は、凄みを潜めて描いている気がする。
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